WORKS - Paper Tube Structures

PAPER BRIDGE - Remoulin, France, 2007

紙の橋

Paper Bridge was designed as a summer event for the tourist season near the Pont du Gard, a Roman aqueduct in the south of France near Nimes, registered by UNESCO as a World Heritage.

The shape of the arched bridge was selected for the situation of the site and the structural rationality. There was the contrast of the materiality where Pont du Gard is made of stone which is heavy, hard and durable, and Paper Bridge which is made of the paper tubes that are light, weak and short-lived. At the same time, there is a harmony between the two as the geometry of Paper Bridge uses the same arc dimension as the Pont du Gard’s arches.

The French newspaper, Le Monde, introduced that the “younger brother” of Pont du Gard was born.

ユネスコの世界遺産に登録されている、南フランス・ニーム近郊にあるローマ時代の水道橋、ポン・デュ・ガール(Pont du Gard)で、夏の観光シーズンのイベントとして、ポン・デュ・ガールをテーマとして「何か」仮設の作品を作って欲しいという依頼をいただいた。「何か」と言われて、すぐに「紙の橋」を作りたいと答えた。もちろんクライアントも、私の紙の建築のことは知っていたが、いささか人が渡る橋を紙で作るという提案には驚いたようだが、安全で、建設や解体が楽で、また来シーズンも建てられるならやろうということになった。
私にとって橋の設計は、ひとつの夢であった。それは、橋には2つの場所を結ぶというとてもロマンティックな側面と、また素晴らしい橋ほど構造的に美しいものは他にはないといつも考えていた。
敷地の状況と、構造的合理性から太鼓橋の形状をまず選択した。ポン・デュ・ガールの石というとても重く、硬く、そして永久性のある材料と、紙という軽く、弱く、そして一見短命に思われる材質的コントラストを見せつつ、紙の橋の形態あるいはジオメトリーは、ポン・デュ・ガールの石のアーチと同じ寸法の円弧を使い、ハーモニーを持たせた。
紙管は、「ハノーバー万博日本館」や、「ブルゴーニュ運河博物館ボートハウス」そしてパリの「紙の仮設スタジオ」で既に実験し認定を取ったのと同じ直径115mm、厚み19mmの紙管を使った。ジョイントは、「ペーパードーム アムステルダム」や「バザレリー・パビリオン」、「シンガポール・ビエンナーレ・パビリオン」で採用した、ポストテンションを入れたスティールジョイントを使った。
設計や模型製作は、私のパリ事務所と慶應大学SFCの研究室で、共同で進めた。施工は敷地に近いモンペリエの建築大学(Ecole d’Architecture Montpellier)のシエリー・バーソミエール教授とその学生に、SFCの学生が加わり、約一ヶ月で完成させた。
構造設計上は、安全率を十分に見て、一度に渡る人数を20人に限定し、完成後はプルーフ・エンジニア立会いのもと、公認試験機関が、水袋を使い20人分として、1.5トンまでの積載実験を行った。結果的には予想よりはるかに強く、最頂部のたわみは9mmで、1.5トンの水袋を取り除くとたわみは2mmにまで戻った。
フランスの新聞ルモンドには、ポン・デュ・ガールに「弟」ができたと紹介された。

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